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『涼宮ハルヒの憂鬱』/ムージル『特性のない男』/ファインマン経路積分 1

「小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議からだと思います」北村薫のデビュー作『空飛ぶ馬』の背表紙にある著者のあとがきはこの文章から始まります。「ただ一度」の人生、つまり時代のある限られた期間に、個人という有限の存在として不可逆の時間の流れの中で体験する一連の出来事は、一人に一つしか与えられません。男に生まれた以上出産は経験できないし、江戸時代に生まれていれば海外旅行はできないでしょう(その代り、落語や歌舞伎など江戸文化の粋を味わえたでしょう)。

 幼少の時から僕が死について考えていた理由の一つが、この有限性でした。世界の大部分を知ることなく、限られた体験しかすることなく人生を終えることの悔しさ。人気ライトノベルのアニメ化である『涼宮ハルヒの憂鬱』第13話に、ヒロインのハルヒが小学生の時に父に連れられて行った野球場で体験するエピソードがこのような感覚を物語っています。

 初めて行った野球場で大勢の観客を目にした彼女は、父に尋ねてその人数が5万人ほどであると知ります。自分はその中のたった一人の存在であり、その5万人もさらに日本全国の人間の約2000分の1でしかないことに衝撃を受けます。高校生になった彼女はその体験をこう語ります。
「私の世界で一番面白いと思っているクラスの出来事も、こんなの日本の学校でどこでもありふれた事でしかないんだ。日本全国の全ての人間から見たら、普通の出来事でしかない。そう気付いた時、私は急に私の周りの世界が色褪せたみたいに感じた。 . . . そして、世の中にこれだけの人がいたら、その中には普通じゃない面白い人生を送っているひとがいるんだ。そうに違いないと思ったの。それが私じゃないのは何故?」

 僕も小学生の時にこれと同じような体験をしたことがあります。確か小学校5年生の時、サマーキャンプで山奥の小学校でほかの学校から来た生徒たちとくじ引きでグループに分けられ、グラウンドでテントを張って宿泊しました。夜に校舎の中のトイレに行き、グラウンドに帰ってきたとき多くのテントが並んでいるのを見て、「今回はたまたまこちらのテントの中の人たちと一緒だったけど、別のくじを引いていればほかの人と一緒だっただろう。そうだったらまったく別の出会いがあり、もっと面白いことが起こっていたかもしれない」と考えました。
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プロフィール

大熊座から来た男

Author:大熊座から来た男
HNは池澤夏樹『スティル・ライフ』より。
ブログ名は、ツンデレ美少女風に読んでください。
CV:今井麻美、斎藤千和推奨。

膵腺房細胞癌という非常に珍しい病気と闘いながら、気候変動(特に北極圏問題)や気候工学(ジオエンジニアリング)について学んだ情報を発信していきます(体調不良のため、最近は闘病ブログになりつつあります)。気候学は独学で勉強中なので、いろいろとご指摘お願いします。

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