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『グスコーブドリ』と『グスコンブドリ』

 宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』は、20世紀初期にいち早く火山の人工噴火による二酸化炭素の放出という気候工学や、人工降雨による施肥のような気象工学を描いている、おそらく世界的にも珍しい先駆的な作品です。二度もアニメ化されるなど、作品としての知名度が高いにも関わらず、この作品がもともと『グスコンブドリの伝記』として書かれ、改稿されたことはあまり知られていません。『グスコンブドリ』は宮沢賢治学会イーハトーブセンターが、以下のウェブサイトで公開しています。
http://why.kenji.ne.jp/kohon/1002gusukon.html
 
 『グスコーブドリ』を読んだ多くの人が抱く感想として、作者が後半部分を書き急ぎすぎていて、作品のクライマックスである人工的な火山の噴火の部分が十分に描かれていないというものがあります。『グスコンブドリ』では、ブドリとクーボー大博士の会話の部分が『グスコーブドリ』より長く、かつて窒素肥料の件でブドリに暴行した男たちが改心し、火山まで同行する場面が追加されるなど、本来はよりしっかりと描かれていたことがわかります。

 その相違点の中で、特に印象的なものが、クーボー大博士から、火山の人工噴火を実行する最後の一人は、噴火から逃れられないことを聞いた時のブドリのセリフ、「私にそれをやらせて下さい。私はきっとやります。そして私はその大循環の風になるのです。あの青ぞらのごみになるのです。」です。『グスコーブドリ』では、このセリフは「先生、私にそれをやらしてください。どうか先生からペンネン先生へお許しの出るようおことばをください。」というものであったことを考えると、もともとは人工噴火という行為に、自然による自身の浄化や自然との合一という色合いが付加されていたことがわかります。ほかの賢治の作品だと『よだかの星』の結末を思わせるものであり、この行為の象徴性、精神性をより高めるものと思われます。

 このテーマについては、より詳しく考えてみたいので、いずれ残りの部分を加筆します。
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No title

こんばんは

『銀河鉄道の夜』でも

僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。
うん。僕だってそうだ。

という有名な台詞も想起されますね。

自己犠牲というのは
宮沢賢治の中で大きな意味を持っていた印象がありますよね。

『よだかの星』・・・数年前に子どもに
絵本を読み聞かせる際に
よだかは、実にみにくい鳥です。
の書き出しに唸ったのを思い出しました。

その分、ラストが際立つんだけどね・・・

『グスコーブドリの伝記』にしても
『セロ弾きのゴーシュ』にしても
作中ではどこか疎外者の面影があり

我が身を犠牲にすることに
(ゴーシュの場合はそれだけの練習を積むことより)
他者を幸せにする。

“ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ” 『雨ニモマケズ』

それが尊いもののように感じるときもあれば
井上陽水の『ワカンナイ』のように感じる時もあるんだよね。
(話が逸れました。すみません)

No title

この前はどうもありがとう。本当にうれしかったです。

その時も話したと思うんだけど、賢治の自己犠牲について、宗教的側面から研究した本や、伝記的資料などからもう少し考えてみます。何か良い資料に心当たりがあったら、また教えてください。 他の作品も、読み返さなくては。

No title

こんにちは 
有名なのは第一人者ともいえる
天沢退二郎の『宮沢賢治の彼方へ』を
初めに読んだ記憶があります。

おもしろかったのは井上ひさしの『宮澤賢治に聞く』
架空のインタビューという形をとっておりますが
十分読み応えがありました。

意外なところでは(勝手にそう思っているだけですが)
吉本隆明の『宮沢賢治』と『宮沢賢治の世界』

全然関係ありませんが
・・・・『共同幻想論』は何度か挫折して
『共同幻想論』の読み方という本に助けられたのを思い出します。

あとは知り合いの書店員さんから勧められた『としての宮沢賢治』が違ったアプローチで
面白かったそうですが。僕はまだ未読です。

あとは“カンパネルラ”のモデルとも言われる
賢治の友人である保坂嘉内との交流を描いた
『宮沢賢治の青春―“ただ一人の友”保阪嘉内をめぐって』
『二人の銀河鉄道―嘉内と賢治』も
読んでよかったような
作品を作品そのものとして
捉えられなくなったような不思議な印象が残っているので、興味があられたら
読まれることをおすすめします。

自分なんかよりも
詳しい方は大勢居られて 個人研究・考察も多くあるので、それらを読むのもいいかもしれません。
それでは

No title

たくさん教えてくれてありがとう。
まず、天沢退二郎のものから読んでみたいと思います。

吉本隆明が書いているのは知りませんでした。

読んだら、また感想を書きます。
プロフィール

大熊座から来た男

Author:大熊座から来た男
HNは池澤夏樹『スティル・ライフ』より。
ブログ名は、ツンデレ美少女風に読んでください。
CV:今井麻美、斎藤千和推奨。

膵腺房細胞癌という非常に珍しい病気と闘いながら、気候変動(特に北極圏問題)や気候工学(ジオエンジニアリング)について学んだ情報を発信していきます(体調不良のため、最近は闘病ブログになりつつあります)。気候学は独学で勉強中なので、いろいろとご指摘お願いします。

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