人間の放出する二酸化炭素が、気候変動の主な原因である可能性が高いことが、ほぼすべての研究者の共通認識であることは以前に書きました。それでは、今はどういった状況なのでしょうか?環境庁のデータによると、2010年において1年間に人間が化石燃料を燃やすことで放出している二酸化炭素量は約303億トン。国別の主な内訳は、多い順に中国72.7億トン(24.0%)、アメリカ53.6億トン(17.7%)、EU、インド、ロシアときて6位日本11.5億(3.8%)トンとなります。一人あたりの排出量では最大がアメリカの17.4トンで、日本は9.0トンとなります。日本の場合、工場などの産業の排出が35.8%、オフィスなどの業務が21.1%と、合わせて半分以上です。日本が工業製品を多く輸出していることを考えると、その分だけ日本の排出量は高めと言えます。
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/shiryo.html#06 これに対して、地球環境が吸収できる二酸化炭素量は環境庁の資料によると1年間に森林、海洋合わせて約114億トン(31億炭素トン。これに44/12をかけると二酸化炭素量になる)と、人間の排出量の約3分の1に過ぎません。この吸収量は今後森林の減少や、海水温の上昇があれば減少することが予想されます。
この炭素収支をお金の収支で考えてみましょう。ある国に年収が日本円で114万円の家庭があるとします。この国ではそれだけの収入があれば、貧しいながらも生活することができます。しかし一家の中に一人か二人ほどぜいたくな暮らしをしている者がいて、そのため一家の支出は年間303万円です。当然赤字なので、家族は借金をして生活しています。未来にその借金を払うのは家族の中の幼い子供たちで、特に贅沢をして家族を借金漬けにしているのは、先進国に住む僕たちです。
(アメリカ、EU、ロシア、日本の約10.8億人だけで排出量は108.7億トン、全体の1/3以上です。たとえばインドの二酸化炭素排出量は一人当たりわずか1.37トンで、アメリカ人の約13分の1です)。
また、前述のインドネシアの泥炭地から、火災や泥炭の分解から生じる二酸化炭素は年間約20億トンです。これは先ほどのたとえを使うなら、家族の支出の中にたとえば病気の治療代が年20万円加わり、収入が実質90万円になることを意味しています。これまで計算に入れると、この家族の年間の収支は114-303-20=-209で209万円の赤字になります。家計に例えると、僕たちはこれほど厳しい状況で生活しているのです。
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