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除夜の京都とミステリ談義:有栖川有栖『江神二郎の洞察』


江神二郎の洞察江神二郎の洞察
(2013/12/27)
有栖川 有栖

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 本格推理作家、有栖川有栖の作家と同じ名前の大学生を主人公に、彼の所属する推理小説研究会の江神二郎部長を探偵役とする通称「学生アリス」シリーズは、デビュー作の『月光ゲーム』より約25年で5冊のスローペースながら、エラリー・クイーン的な論理を重視する本格ミステリと青春小説を融合させた作風で根強い人気があります。その初めての短編集が去年刊行された『江神二郎の洞察』です。

 「学生アリス」シリーズは、作者の母校である同志社大学をモデルにした英都大学のEMC(英都大学推理小説研究会)がサークルの合宿などで訪れた土地で殺人事件に巻き込まれていくという展開なので、京都が主な舞台になることはありませんでした。しかしこの短編集では、一部を除いては大学や部員たちの下宿など、京都の上京区や左京区などが舞台となり、起こる事件も殺人などは少なく、「下宿においてあった大切な講義ノートはだれが盗んだのか?」や、「古本屋の主人が突然大盤振る舞いを始めた理由は?」といった、日常の謎が中心となります。

 その中で書き下ろし作品であり、事件は何も起こらずアリスと江神部長が除夜の京都を歩きながらミステリ談義をするという「除夜を歩く」について書きたいと思います。ちなみに短編のタイトルは、有名なミステリや文学作品から採られたものが多く、「除夜を歩く」は横溝正史またはディクソン・カーの『夜歩く』、他にも「瑠璃荘事件」、「やけた線路の上の死体」、「四分間では短すぎる」など、どこかで聞いたようなものが並びます。

 僕にとってこの短編が魅力的なのは、作中で二人が交わすミステリの論理の虚構性を巡る議論より、それがなされる状況です。大学1回生のアリスは、わけあって何年も留年を繰り返し、自分よりだいぶ年上の4回生の江神部長の今出川近くにある下宿から、京都御所、鴨川デルタ、川端通りに沿って三条、四条を経て八坂神社へとおけら火(薬草の根でできた木を燃やした火)をもらいに夜の京都を二人で歩きます。博識で頼りになり、夏の合宿で起こった陰惨な殺人事件を解決した憧れの先輩と大好きなミステリの話をしながら、除夜の京都という特別な空間を体験するアリスの高揚が伝わってくるようです。また京都に暮らしたことのある人なら、二人の歩いている場所の情景が目に浮かぶようでしょう。

 学生時代、お金もなくまだ自分が何者かもわからず、しかし時間と情熱だけは有り余っていた時代、このように先輩や友人と全く何の役にも立たないことで夜を明かした経験のある人は多いでしょう。今思うと、なんと贅沢な日々だったのでしょうか。また僕が学生のころはまだ、江神先輩のようにいったい何をしているのかわからない、謎の上回生がまだ大学にいて、よかれ悪かれ大きな影響を後輩たちに与えていましたが、今はそのような学生も少なくなってきているように思います。

 そしてこのような物語がしっくりくるのは、やはりゆったりとした時間が流れ、若者や異邦人に対し寛容な京都という土地だからではないでしょうか。彼らはこの土地でつかの間、社会のシステムの制約から解放されて非生産的、遊戯的な自由を謳歌します。おけら火をもらった後、どのようなルートで帰ろうか迷うアリスに対し、江神部長はこう言います。「気ままに歩いたらええやないか。京都の道は碁盤の目や。なんぼでもルートはある」(352)。

それでは、よいお年を。

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中国の大気汚染と人工降雨

 長いスパンで広範囲の領域の気候に影響を与える気候工学に対して、人工降雨など短期間、局地的な気象に介入する気象工学は低コストで要求される技術レベルも低いため、割と古くから世界中で実施されてきました。特に中国では、人工降雨は干ばつの対策や北京オリンピックの時は開会式の天気を快晴にするため、国がバックアップしてきました。そして最近、人工降雨の新たな利用法を政府が推進して話題となっています。

 ご存じのとおり中国の大気汚染による住民の呼吸器疾患は深刻で、その死者数は少なくとも毎年100万人という報告もあります。 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1219&f=national_1219_001.shtml この対策に頭を悩ませている政府は、「有害濃霧を人工降雨により軽減」するための気象コントロールを各地の気象部門に認めました。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131218-00000017-xinhua-cn 僕はこの計画が今後どのような経緯をたどるかに注目しています。

 有害物質は気体より液体、液体より固体と濃縮したほうが扱いやすく、被害も少なくなります。その点からは、大気中の二酸化硫黄などを雨に溶かしてしまうことは、合理的な大気汚染軽減の方法と言えます。またヨウ化銀を用いる人工降雨も中国政府には十分なノウハウがあると思われるので、成功の確率は高いでしょう。しかしこれを実施するには以下の点について留意する必要があります。

・汚染物質が溶け込んだ降雨による土壌の汚染はどの程度になるか。
・人工降雨と工場の排気ガスのクリーン化を比較した場合、コストの上で見合っているか。
・人工降雨を実施した場合、周囲の気象に対する影響はどの程度になるか。

 この3点に関して問題がなければ、積極的に人工降雨を実施するべきだと僕は思います。例えば実施により大気汚染による死者数の10パーセントを低減できた場合、それは年間10万人にもおよびます。これだけの生命を救えるなら、例えば異常気象による局地的な農業生産の低下などのデメリットは国が補償することを前提として、実行するべきでしょう。

 どのような気候やエネルギーに対する政策にもメリットとデメリットのどちらも必ず存在します。大切なのは、総合的に判断して現状考えられるうえでの最適な選択を行うことです。

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'13 12/17 入院、入院、また入院

 化学療法がまた変わったので、副作用の対策のために入院しました。今度はトポテシンという、主に胃がんなどに使われる薬で、下痢などの副作用が多いそうです。ですが特に大きな副作用もなかったので、講義のために一時帰宅しています。今週末の金曜日にもう一回投与を受けて、特に問題がなければ退院となります。今度こそ効いてくれますように。

 講義や病気などで、気候工学の研究などがあまり進んでいません。冬休みを利用して、今年の夏の学会発表の英訳などを進めるつもりです。

僕の住んでいる所では、もう雪の季節です。写真は病院のラウンジの窓から撮った吹雪。

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この前書いたMont-Bellのダウンカーディガン、昨日発売された雑誌Beginで有名スタイリストの蔡俊行氏が2ページにわたり紹介していました。「ここまで堂々と人にすすめられる商品というのもめずらしい」とまで。本当に便利ですよ。

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約1万円で、最旬のダウンスタイルを

 環境と経済を両立させる消費スタイルとして、「良いものを買って長く使う」ことが大切であることは、このブログで何回か書いてきました。そして洋服において、「長く使う」ことは、何年もの間同じものを使うだけでなく、一つの服を一年の中で長い期間着ることも含まれます。そして、これは気候変動のために最近では難しくなっています。

 地域にもよりますが、夏の期間が延びて一年のうちに5~9月までの5か月はシャツだけで過ごせるほどの気温になってきたため、春物のジャケット、アウターは3~4月、秋物は10~11月のそれぞれ2か月ほどしか着ることがなくなってしまいました。また暖冬により、ダウンジャケットのような真冬専門のアウターが必要な期間も短くなっています。

 そこで今注目を集めているのが、インナーとして着ることを前提に作られた薄手のダウンです。雑誌2ndの今月号では、これの特集をやっています。インナーダウンは秋、春はカーディガン代わりとして、冬はジャケットやコートのインナーとして利用できます。だから冬は出番のなくなっていたツイードジャケットやスエードブルゾンなどの秋服を、冬にも有効活用することができます。また薄手なので取り扱いが楽で値段も安価です。薄くても保温性は十分で、半袖もあります。


2nd (セカンド) 2014年 01月号 [雑誌]2nd (セカンド) 2014年 01月号 [雑誌]
(2013/11/16)
不明

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 このインナーダウンのブームは、NYで活躍する日本人デザイナーの鈴木大器氏が日本のアウトドアブランドMont-Bellのダウンカーディガンを愛用していたことが始まりでしょう。Mont-Bellというと、失礼ながら老人向けの週末ハイキングウェアというイメージがあったので、氏のブランドEngineered Garmentsの母体であるセレクトショップNepenthesでこのカーディガンの扱いが始まったときには正直意外でした。洋服自体は何の変哲もなく、野暮ったささえ感じるようなものでしたが、それをジャケットやコートのインナーに取り入れることで、不思議と都会的な洗練が生まれるという洋服の奥深さを示すものです。Popeyeのチープ・シック特集号にも紹介されています。


(モンベル)mont-bell U.L. ダウン ラウンドネック ジャケット Men's(モンベル)mont-bell U.L. ダウン ラウンドネック ジャケット Men's
(2013/08/26)
mont-bell(モンベル)

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 最近このダウンカーディガンを安く手に入れたので(ポイントがついて、実質8000円とちょっと)、Engineered GarmentsのダブルのツイードJKに合わせてみました。丸襟なのでジャケットの襟と干渉しません。グレーのツイードJKは秋服の基本中の基本ですが、普通に着てしまうとオサーンを通り越して老人風になったり、また教師の場合は金八風になってしまう危険があります。タイトなダブルのようなデザインを選び、インナーに差し色をもってくることで、それを防ぐことができます。

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このタイプのインナーダウンを着るときのポイントは3つ。

・タイトなシルエットを選び、あくまでインナーとして着る。
これをアウターにして下にいろいろ着こむと、ペラペラのユニクロダウン風の安っぽいイメージとなります。保温のためのインナーと割り切りましょう。

・黒は避ける。
黒いナイロンのダウンは、おそらく今最もファッショナブルからほど遠い冬服でしょう。よっぽどコーディネートに自信がない限り、黒以外が無難です。

・マウンテンパーカ等、アウトドアウェアとは合わせない。
本来登山用の防水パーカ等のインナーとして作られているので、アウトドアウェアと合わせるとまんま登山スタイルです。山に登るとき以外は避けましょう。

 ここ数年冬にダウンを着ている人が増えて、正直飽きている人も多いと思います。今年はダウンはインナーにして、すっきりとしたスタイルで冬を過ごすのはどうでしょうか。

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秋の京都旅行(非観光地)

 週末を利用して、京都に行ってきました。この時期は紅葉がきれいな観光シーズンですが、観光地には行かずに以前暮らしていた場所などを回っています。

北大路の有名な洋食屋、グリルHASEGAWA。ハンバーグがふわっとしていておいしいです。

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北山通りにある、セレクトショップMuseum of Your Historyに行ったら、そこのブランドKato'の世界的に有名なデザイナー、加藤博さんがいらっしゃいました。かっこよかった。試着したゴアテックスを使ったコートもいい感じ。

秋の白川疎水はこんな感じ。

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御影通りは落ち着いていて、大好きな通りの一つです。

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叡山電鉄は、なぜか魔法少女モードになっていました。

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夜の京都タワー。

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帰りに三条のイノダコーヒ(「コーヒとはコーヒーのことか?」by 井之頭五郎)で、池波正太郎の大好物だったビーフカツサンドを買って、帰りの電車で食べようと思いましたが、なぜか扱っていずミックスサンドを。卵がふわっとしていました。

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また京都に行けるように、病気の治療がんばります。

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プロフィール

Author:大熊座から来た男
HNは池澤夏樹『スティル・ライフ』より。
ブログ名は、ツンデレ美少女風に読んでください。
CV:今井麻美、斎藤千和推奨。

膵腺房細胞癌という非常に珍しい病気と闘いながら、気候変動(特に北極圏問題)や気候工学(ジオエンジニアリング)について学んだ情報を発信していきます(体調不良のため、最近は闘病ブログになりつつあります)。気候学は独学で勉強中なので、いろいろとご指摘お願いします。

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