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2035年の世界 3

 さらに悲しいことに、何をやっても気温の上昇を止めることができないという状況となれば、それは人心の荒廃をもたらすでしょう。子供たちは文字通り未来を奪われ、温室効果ガスを大量排出してその原因を作った大人を憎み、軽蔑するでしょう。家庭や教育は崩壊するでしょう。子供たちはみなこの時代に生まれてきたわが身の不運を嘆くでしょう。

 そういった時代に生きることは、ある意味死よりも恐ろしいことかもしれません。人間は次の世代が今まで自分たちが築き上げてきたものを引き継ぎ、社会や文化をより発展させ、幸福に生きていくだろうと信じることができるからこそ、安心して死んでいくことができます。しかし、例えば海底のメタンハイドレート崩壊(気温の5℃上昇で起こる可能性がある)が確実になれば、人間に止められる手段はおそらくないでしょう。物心ともに荒廃した世界で、人類のほんの一部が、気温上昇後もかろうじて生きられる極地の近くで細々と生き延びる未来を想像しながら生き、そして死んでいかなければなりません。

 数年前に北極海氷の急激な減少を目の当たりにしたとき、僕はその未来を想像して絶望しました。未来を奪われた世界で死んでいくのが恐ろしく、まだ少しでも希望が残るうちに死ねたらそちらのほうが幸せかもしれない、とろくでもないことを思うようになりました。だから、去年の6月末に重い病気であることを告知された時も、自分でも不思議なほどに冷静でした。しばらく前から、体調などとは別に予感があったのです。僕は超自然的存在は信じませんが、心と体の間には深い関係があると思います。この病気は僕のそういった心が具現化したものかもしれません。

 しかし去年の夏の北極海氷の状態は、僕の生と死に対する態度を一変させました。北極は気候変動の「炭鉱のカナリア」と呼ばれ、これが連鎖的に広がっていく温室効果の拡大の第一歩、ドミノ倒しの最初の1枚と考えられます。北極海氷体積の減少は3年ほど前より知っていたのですが、2012年は面積も急速に減少し、2015年9月消失という説が現実味を帯びてきました。この状態が変わらなければ、決して希望を持ったまま死んでいくなどということはできなくなります。少しでも長く生きて、この絶望的な状況が変わるための手助けをしないといけないと思いました。現状が絶望的であるからこそ、僕は死ぬわけにはいかないのです。
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2035年の世界 2

 気候変動による危機が確実になったとき、それに対して行動を起こさないほど各国の政府や識者は馬鹿ではありません(悪い意味で)。世界的な食糧、水不足を見越して、その確保のために適した土地や、資源をめぐる争いが起こるでしょう。2035年前後には、インドとパキスタンの間で水資源をめぐり、核兵器を使用する全面戦争が起こるというシミュレーションもあります(『残された時間』p.132)。個人レベルでも、将来を見越している先進国の裕福な人たちは生存のために必要な食糧、物資の買い占めに走り、その結果ますます物価が上昇するでしょう。穀物価格の上昇により、肉を食べることはめったになくなって、多くの人は病弱でひ弱な体つきになっているでしょう。貧しい国々では内戦、暴動が多発するでしょう。気候変動の責任をめぐって特に先進国と新興国の間で争いが起こるでしょう。そして、そのような状況の中で最も被害を受けやすい国の一つは、豊富な水資源を持ちながら食糧自給率が低く、エネルギーの自給率はそれ以上に低い日本です。

2035年の世界 1

※ カテゴリのタイトルは『進撃の巨人』 第1話より

 もし気候変動対策が遅々として進まなかった場合、地球上の気候システムや社会はいったいどうなるでしょうか?今年生まれた子供が大学を卒業する2035年前後のことを想像してみましょう。(この予想は、東京大学名誉教授山本良一著『残された時間―温暖化地獄は回避できるか?』(2009年ダイヤモンド社)や、ワシントン大学PIOMASの北極海氷予想、気候研究者の団体Arctic Methane Emergency Group http://www.ameg.me/ の予想に基づき、僕が個人的に推測したもので、正当性、正確性を保証するものではありません。)

 ケンブリッジ大のWadhams教授の予想によると2015年前後に北極海氷は消滅します(イギリス、Telegraph紙のニュース http://www.telegraph.co.uk/earth/environment/globalwarming/8877491/Arctic-sea-ice-to-melt-by-2015.html )。アマゾンの熱帯雨林は以前の予想では2030年までに最大60%が消滅するとされていました(『残された時間』p.45)が、海氷が消滅し気温上昇が加速した場合ほとんど残っていないでしょう。すでに気流の変化により異常気象や干ばつが増加し、農業に影響を与えています。これから大きな気候的変化が起こるということが、だれの目にも明らかになります。北極圏のアルベド(日光の反射率)の変化とメタン、二酸化炭素の放出の増加により、二酸化炭素削減による気温上昇の抑制は不可能に近くなっているかもしれません。
プロフィール

大熊座から来た男

Author:大熊座から来た男
HNは池澤夏樹『スティル・ライフ』より。
ブログ名は、ツンデレ美少女風に読んでください。
CV:今井麻美、斎藤千和推奨。

膵腺房細胞癌という非常に珍しい病気と闘いながら、気候変動(特に北極圏問題)や気候工学(ジオエンジニアリング)について学んだ情報を発信していきます(体調不良のため、最近は闘病ブログになりつつあります)。気候学は独学で勉強中なので、いろいろとご指摘お願いします。

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